マーダーミステリー(マダミス)とは、プレイヤーが物語の登場人物の一人となり、発生した事件の真相を追究しながら、個々の目的の達成を目指して物語を紡いでいく『体験型ミステリーゲーム』です。
マーダーミステリーは徐々に日本国内でも遊ばれる数が増えてきており、その人気は年々上昇していると言えるでしょう。
しかし、中国のマダミス人気の広がり様はさらに爆発的で、なんとマダミスの市場規模でいうと日本の「約300倍」もの違いがあるというのです!
この記事では、なぜ中国においてそこまでマーダーミステリーが人気なのか?そしてどんな中国産シナリオがあるのかをご紹介します!
この記事はこんな人におすすめ!
- マーダーミステリーが中国で流行している秘密を知りたい!
- 中国産のおすすめマーダーミステリーシナリオについて知りたい!
市場規模は3,000億円以上!中国でマダミスがヒットした要因とは?
この記事では、2024年02月18日に港区立産業振興センターで行われたマーダーミステリーイベント「マダミ―ティング」の内容をもとに、中国のマダミス事情について紐解いていきます。
マダミーティングによると、中国ではマダミスの市場規模が3,000億円以上に達し、その普及具合は日本でいう「カラオケ」と同程度と言います。カラオケというと、遊ぶ場所や飲み会の2次会の候補としてよく筆頭に上がりますし、駅前にはたくさんのカラオケ店を見かけますので、それと同程度と考えると非常に普及している印象を受けます。
調査会社iiMedia Consultingの調べによると、なんと中国では、「映画鑑賞」「スポーツ」の次に来る人気の娯楽が「マーダーミステリー」だというのです。
中国ではなぜここまでマダミスが浸透したのでしょうか?その要因を紐解いていきましょう。
要因①大ヒットしたバラエティー番組
中国では2016年から動画配信サブスクリプション「芒果tv」で『明星大探偵』という推理バラエティ番組が大ヒットしました。
『明星大偵探』には、特定の場所、人物、ストーリー、シチュエーションが存在し、出演者たちは各自の脚本をもらい、キャラクターを演じながら、協力して真犯人を捜し出します。通常は6人のキャラクターの中に真犯人が1名存在しますが、スペシャル回の場合は登場キャラクターが増えたり、共犯者が存在したりします。
そのシチュエーションはまさにマーダーミステリーと言えるもので、出演者各自の情報収集力、分析力、推理力によって最後に真犯人を選出する過程は多くの視聴者に刺さるものとなりました。
この番組が流行するとともに、自分自身も似たシチュエーションでミステリーに挑める「マーダーミステリー」が非常に注目を浴びました。
要因②若者の心を捉えるゲーム性
中国の若者は996と呼ばれる「朝9時から夜9時まで週6日間働く」といった過剰労働が問題視されてるほど、働きづめの人が多いと言います。毎日仕事のストレスに晒されて、日々のSNSの情報にも溢れて、平面的なエンターテイメントでは中国の若者は飽き足りないと言います。
そんな時に若者の心を捉えたゲームジャンルが「マーダーミステリー」でした。
ゲームの中でキャラクターを演じて物語の世界に没入することや、ミステリー体験を通して好奇心が満たされることで、単に受動的な娯楽とは違い多面的な体験を楽しむことができました。日々ストレスに晒される中国の若者は、マーダーミステリーによってリフレッシュの機会を得ていたのです。
また、インターネットの台頭により、中国ではコミュニケーションに苦手意識を持つ若者も増えました。その中で、マーダーミステリーは畏まった挨拶をせずともゲームを通して人と関わっていけるので、「コミュニケーションは苦手だけど人と新しい関わりは増やしたい」と思う若者の望みを叶えてくれたのです。
要因③店舗数の急増
中国のマダミス店舗はいろいろなところに点在していて、満員になっている店舗も多数。2019年におよそ2,400軒だったマダミスの店舗は、2021年には約19倍のおよそ45,000軒にまで増えたそうです。
中国のマーダーミステリーは、雑居ビルの一角を借りてボドゲカフェのような業態で運営しているところが多く、比較的安価な初期費用で開店が可能である点も、店舗数を急増させた要因の1つであると言えるでしょう。
また、先の要因のように若者間でマーダーミステリーは爆発的に普及しており、脱サラをしてマダミス店舗を開店する若者も非常に多いと言います。
要因④利便性の高い予約プラットフォーム
日本ではマダミスが現在そこまで普及しておらず、例えば店舗公演を予約する際は、その店舗のHPから予約するケースがほとんどです。
しかし、中国では大手口コミプラットフォームには「マダミス」の独立した項目があり、そのプラットフォームを利用することで、マダミスの検索から予約まで簡単に実施することができるのです。
こういった利便性の高いプラットフォームの存在も、中国でマダミスが普及した要因の1つと言えるでしょう。
どんな店舗があるの!?中国のマダミス店舗事情について!
中国はたくさんのマダミス店舗が存在し、そのクオリティはピンからキリまであると言えるでしょう。
その中でも、いくつか特徴をピックアップしてご紹介します!
- とにかく多い店舗数!
中国でのマダミス店舗数は、人口比を考慮すると、東京にある書店やファミレスと同じくらいの数が存在すると言われています。東京の駅前を歩いていれば書店やファミレスは何店も見かけるので、それだけでも非常に店舗数が多いことが分かるでしょう。
- 没入度にこだわった店舗設計
中国でマダミスが広まった要因には、物語に没入する非日常体験感も要因の1つに上がります。ですので、中国のマダミス店舗は没入のための演出にこだわりを持っている店舗が多いです。日本のマダミス店舗は通常の部屋や服装でプレイする者が多いですが、中国では、その作品専用のプレイルームであったり衣装であったりを準備しているマダミス店舗も多いです。また、日本で公演型のマダミスを実施する際は、GM1人が進行とNPC役を担うことが多いですが、中国では複数人のNPCをキャストが演じることも多いのです。
- お部屋がとにかく広い!
日本のマダミス店舗は雑居ビルの1室などが多く、どうしても部屋が狭い店舗が多いです。しかし、中国のマダミス店舗は郊外にもたくさん点在しており、大きい部屋やたくさんの部屋を有する店舗が多いです。店舗が広いからこそ同じ時間当たりにプレイできる人数も多く、また満足度も高いものになります。中国はタクシー代が日本と比較して安価で、交通の便が悪いことが不利に働かないこともその要因でしょう。
どんなシナリオがある?中国産のおすすめシナリオ3選!
中国はマーダーミステリーが非常に人気で、そこから生まれたシナリオの中には日本でも人気の高いものがあります。中国産のおすすめシナリオを以下にご紹介します。
『2026』
作品タイトル | 2026 |
プレイ時間 | 270分 |
プレイ人数 | 6人 |
シナリオ制作者 | 周浩暉 |
GM要否 | 必要 |
プレイ形式 | 日本では未ローカライズ |
中国の気鋭の推理小説家「周浩暉」が書き上げた、中国で絶大な人気を誇るSFマーダーミステリー!その世界観にきっと魅了されることでしょう。日本ではまだローカライズされておらず遊ぶことができませんが、遊べるようになるその日までぜひお待ちください!
『年輪』
作品タイトル | 年輪 |
プレイ時間 | 270分 |
プレイ人数 | 5人 |
シナリオ制作者 | 天津劇盟社 |
GM要否 | 必要 |
プレイ形式 | 店舗 |
都心から160kmほど離れた山間に、廃墟がある。もとはわずか数十世帯の小さな村で、ある夜、火事で全焼した。水源に乏しく消火活動は困難を極めたが、谷は深く窪んでおり延焼することはなく、明け方に鎮火した。
引用元:マダミス.JP
この火事で谷間の石垣や樹木が痛み、風が吹くたびに、すすり泣きのような音が聞こえるようになった。まるであの火事で亡くなった人々の亡霊が、泣きながら何かを訴えているかのような……。
険しい山に囲まれた村は孤立していたため、政府は長年にわたって修繕を行ってこなかった。
そんな『忘れ去られた廃墟』に、今日、幾人かがやってきた……。
マーダーミステリー大国の中国で、最高峰の脚本と言われる伝説のマーダーミステリーシナリオ!まるで小説を読んでいるかのようなキャラクターシートの読み込みから始まり、内容が分かりやすいのに奥が深いミステリー、そして衝撃と感動のラストに涙が止まりません…!!
『愛する故に』
作品タイトル | 愛する故に |
プレイ時間 | 240分 |
プレイ人数 | 6人 |
シナリオ制作者 | FIVE社 |
GM要否 | 必要 |
プレイ形式 | 店舗 |
とある没入体験型イベントに招かれた男女カップル 3 組
イベント会場の扉を開けたら、そこは豪華な明治時代の屋敷だった
巻き起こる不思議な出来事
怪しげな笑顔の司会者
彼らを待ち受けるものとは……?テーマは”愛”
引用元:RABBITHOLE
愛する故に、彼らは何を紡ぐのか
本作は、本格マーダーミステリーではなく、キャラクターの心情に寄り添ってプレイヤー全員で自分たちの物語を選び紡いでいく「トーク・アトラクション」シナリオです。非常に恋愛要素が強い作品で、なんと中国では、このシナリオを通して付き合ったり結婚したりした人がいるというほど…!恋愛ストーリーが好きな方はぜひ遊んでみてください!!
《まとめ》
中国と比べた日本のマダミスは伸びしろだらけ!
中国では、マーダーミステリーは国民的遊戯として楽しまれています。しかし、日本は近年大きな伸びを見せているものの、そこまで爆発的な普及には至っていません。
中国でそこまで人気を勝ち取ったということは、日本におけるマーダーミステリーはまだ広まっていく余地が大いにあるということ!
マーダーミステリー大国である中国のように、日本中にマダミスが広がる未来に期待して、ぜひこれからもたくさんマーダーミステリーを遊んでいきましょう!!
中国のように、日本で気軽にマーダーミステリーを楽しめるおすすめ店舗は、初心者のためのマーダーミステリーカフェ「探偵キャンプ」!
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